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公開日:2025.11.20 最終更新日:2025.11.20
俳優

舞台俳優になるには?必要なスキルと仕事内容・資格を解説

舞台の上でスポットライトを浴びながら、観客の心を動かす「舞台俳優」。

テレビや映画とはちがい、生の演技で物語を届けるのが大きな魅力です。

この記事では、舞台俳優の仕事内容や必要なスキル、資格、なるための方法をわかりやすく解説します。

「どうやったら舞台俳優になれるの?」「どんな勉強をすればいいの?」という疑問を持っている中学生・高校生の方は、ぜひ参考にしてみてください!

舞台俳優とは?仕事内容も合わせて解説

舞台俳優とは、劇場などの舞台上で観客に向かって生の演技を行う俳優のことです。

セリフや動きを覚え、照明・音楽・舞台装置と一体となって物語を表現します。

映像俳優のようにカメラを通して演じるのではなく、その場にいる観客の反応を感じながら臨場感あふれる演技を届けるのが大きな特徴です。公演ごとに同じ演目を繰り返しながらも、毎回少しずつ違う表現を生み出すのも舞台俳優ならでは。

舞台の世界を支える「生きた表現者」として、物語を伝える大切な役割を担っています。

①舞台での演技

舞台での演技は、テレビや映画とはちがい、観客の目の前でリアルタイムに行われる“生の表現”です。カメラ越しではなく、同じ空間にいるお客さんに直接感情を伝えるため、その場の空気や反応を感じ取りながら演じる一体感があります。観客が笑ったり、涙ぐんだりすることで俳優の気持ちも高まり、芝居がより深まっていくことも少なくありません。

また、舞台にはカットや撮り直しがないため、一発勝負の緊張感も大きな特徴です。

ミスをしても止まれないので、集中力やアドリブ力が求められます。照明や音響、共演者との呼吸を合わせながら、長い時間を通して物語を届けるのは大変ですが、舞台をやりきったときの達成感や拍手の瞬間は格別です。

舞台俳優は、まさに「生の感動」を観客と共有できる特別な仕事なのです。

②稽古・リハーサル

舞台俳優にとって「稽古(けいこ)」は、本番以上に大切な時間です。

稽古ではまず、台本をじっくり読み込むことからスタートします。物語の流れや登場人物の気持ちを理解し、自分が演じるキャラクターの性格や背景を考える「役作り」を行います。そのうえで、どんな声のトーンで話すか、どんな動きをするかを少しずつ決めていきます。

次に、他の出演者と一緒にセリフのやりとりを確認する「立ち稽古」に進みます。ここでは、演出家の指示を受けながら、舞台上での立ち位置や動き、感情の表現を細かく練習します。そして最後には、最初から最後まで通して演じる「通し稽古」を何度も行い、本番と同じ流れで完成度を高めていきます。

こうした稽古を重ねることで、俳優同士の呼吸が合い、舞台全体の一体感が生まれます。舞台俳優の演技は、見えないところで積み重ねた努力と準備の結果なのです。

③宣伝活動・チケット販売

舞台俳優の仕事は、演じることだけではありません。自分が出演する舞台をより多くの人に知ってもらうための宣伝活動も大切な役割です。最近では、SNSを使った宣伝が主流で、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどで稽古の様子や舞台の見どころを発信する俳優も増えています。自分の言葉で作品の魅力を伝えることで、観客の関心を高めることができます。

また、ファンとの交流も欠かせません。コメントへの返信やイベントでの会話を通して、応援してくれる人とのつながりを大切にすることで、次の舞台への来場や口コミにもつながります。舞台俳優にとって宣伝は、自分自身を知ってもらい、舞台を盛り上げるための大事な活動なのです。

舞台俳優になるには?5つのルートをご紹介

舞台俳優になる方法はひとつではありません。ここでは、専門学校・大学・劇団・養成所・オーディションなど、夢に近づくための5つのルートをわかりやすく紹介します。

専門学校や大学で学ぶ

舞台俳優を目指す人にとって、専門学校や大学の演劇科で学ぶことはとても大きなメリットがあります。

まず、発声・滑舌・表現・身体表現などの演技の基礎を体系的に学べる点です。

自己流では気づかない癖や弱点も、プロの講師から指導を受けることで改善でき、正しい技術を身につけることができます。さらに、演技だけでなく照明・音響・舞台美術など、舞台づくり全体を学べる学校も多く、舞台俳優として必要な総合力を養うことができます。

また、同じ夢を持つ仲間や先輩、講師との出会いも大きな財産です。

人脈づくりや情報交換の場としても学校は貴重で、在学中に劇団やプロダクション関係者とつながるチャンスもあります。オーディションや公演の機会が設けられている学校では、在学中から舞台に立てることもあります。

専門学校や大学での学びは、舞台俳優としての技術だけでなく、将来のキャリアを広げる土台にもなるのです。

俳優養成所に入る

俳優養成所は、芸能事務所や劇団が運営しているプロの現場に直結した教育機関です。最大の特徴は、卒業後にそのまま所属俳優としてデビューできる可能性があること。プロダクションが直接運営しているため、現役の俳優や演出家が講師として指導するケースも多く、実践的な演技レッスンを受けることができます。実際のオーディションや舞台公演に参加するチャンスもあり、早くから現場経験を積めるのが大きな魅力です。

一方で、専門学校との違いは、学べる範囲の広さにあります。専門学校は発声・身体表現・演技理論などを基礎から体系的に学ぶ教育機関で、幅広い授業や資格取得のサポートもありますが、養成所はより実践重視・短期間集中型です。すぐに現場に出たい人には向いていますが、基礎をしっかり学びたい人には専門学校が合っています。俳優養成所は、デビューを目指すための最短ルートの一つとして、多くの若手俳優が挑戦する場所です。

劇団に入団する

舞台俳優を目指す方法のひとつが、劇団に所属して経験を積むことです。

劇団は公演を定期的に行う演劇集団で、劇団員として参加することで、舞台づくりのすべてを間近で学べるのが大きな魅力です。入団の際は、オーディションを受けるのが一般的。演技や自己紹介、即興芝居などで実力や個性を見てもらい、合格すると「研究生」や「準劇団員」として活動をスタートします。

研究生期間中は、発声や演技の基礎、作品づくりの流れを学びながら、裏方の仕事を手伝うこともあります。こうした経験を通して、舞台の現場を総合的に理解できるのが劇団の強みです。実力が認められると正式な劇団員となり、舞台に出演できるようになります。劇団によっては、有名な演出家のもとで学べたり、外部公演に出演できるチャンスも。

オーディション情報は公式サイトやSNSで公開されることが多いので、気になる劇団をチェックし、自分に合った劇団に挑戦するのがおすすめです。

オーディションを受ける

舞台俳優を目指す人がチャンスをつかむ方法のひとつが、公募オーディションに挑戦することです。舞台作品や劇団、芸能事務所が新しい俳優を募集しており、誰でも応募できるケースが多くあります。情報は、演劇情報サイト、オーディション専門サイト、SNSなどでチェックするのが効果的です。

合格を目指すには、まず自己PRやプロフィール写真を丁寧に準備することが大切です。オーディション当日は、セリフ読みや即興演技が行われることも多いため、発声や表情の練習を日ごろから重ねておきましょう。また、審査員に印象を残すには、自分らしさを大切にすることもポイント。

自分の得意な表現を活かして挑戦することで、夢への第一歩を踏み出すことができます。

小劇場や演劇サークルから始める

未経験から舞台俳優を目指す人にとって、小劇場や演劇サークルは貴重なスタート地点です。

小劇場では、地域密着の舞台や学生公演などが多く、初心者でも出演できるチャンスがあります。演技の基礎を実際の舞台で試しながら、観客の前で演じる経験を積むことができるのが大きな魅力です。

また、大学や地域の演劇サークルに参加するのもおすすめです。仲間と協力して台本を作り上げたり、演出や裏方を体験したりと、舞台づくり全体を理解できる実践の場になります。こうした活動を通して、自分に合った演技スタイルや表現方法を見つけられることも。

小さな経験の積み重ねが自信につながり、将来の大きなチャンスをつかむ第一歩となります。

舞台俳優に求められる必須スキル

舞台俳優には、演技力や発声などの基礎に加え、体力・表現力・自己プロデュース力といった幅広いスキルが求められます。

以下ではそれぞれ詳しく解説していきます。

演技力・表現力

舞台俳優にとって最も大切なのが、演技力と表現力です。

演技力とは、台本に書かれたセリフをただ読むのではなく、登場人物の気持ちや背景を理解し、自分の中で再現する力のこと。役の生き方や感情を深く掘り下げることで、観客にリアルな感動を届けることができます。

感情表現では、声のトーンや間の取り方、視線や姿勢など、細かな動きが大切になります。怒りや悲しみ、喜びなどの感情をどう体で表すかを研究し、自分の感情をコントロールできるように練習を重ねます。役作りの方法は人それぞれですが、実際にその人物の気持ちを想像したり、似た経験を思い出したりしてリアリティを高めることが多いです。こうした努力によって、観客が「本当にその人がそこにいる」と感じる説得力のある演技が生まれます。

発声・滑舌

舞台俳優にとって、発声と滑舌(かつぜつ)は欠かせない基礎スキルです。

マイクを使わない舞台では、劇場の一番後ろの席までセリフをはっきり届ける必要があります。そのためには、のどの力ではなく腹式呼吸で声を出す発声法を身につけることが大切です。お腹を使って安定した声を出すことで、長時間の公演でも声が枯れにくく、感情をこめたセリフ回しができるようになります。

また、滑舌の良さは言葉を正確に伝えるために重要です。日々のトレーニングとして、「外郎売(ういろううり)」などの早口言葉を練習したり、鏡を見ながら口の動きを確認したりする方法があります。さらに、顔の筋肉をやわらかくほぐす発音練習も効果的です。

発声と滑舌を鍛えることで、観客に届く力強く美しい声を出せるようになります。

具体表現力(ダンス・殺陣など)

舞台俳優には、言葉だけでなく全身を使って感情や物語を伝える力が求められます。

セリフがなくても観客に気持ちが伝わるような“具体的な表現力”が大切で、そのためには身体の動きを自由に操るスキルが必要です。たとえば、ダンスの経験はリズム感や姿勢の美しさを養い、舞台上での存在感を高めます。また、時代劇やアクション作品では、殺陣(たて)やアクロバットの技術が必要になることもあります。

こうしたスキルは、ただ動きを覚えるだけでなく、「動きに感情をのせる」ことがポイントです。怒りや悲しみを体全体で表現できるようになると、演技の幅がぐっと広がります。日常的にストレッチや体幹トレーニングを行い、柔軟でブレない体を作ることも重要です。全身を使って表現する力は、観客の心に強く残る舞台俳優になるための大切な要素です。

コミュニケーション能力

舞台俳優にとって、コミュニケーション能力は演技力と同じくらい重要です。

共演者やスタッフと意見を交換し、互いの動きや演出意図を理解することで、舞台全体がスムーズに進行します。チームワークを大切にし、協力しながら作品を作る姿勢は、舞台の完成度を高めるだけでなく、信頼関係を築き、次の公演やオーディションにもつながります。

体力・自己管理能力

舞台俳優は、長時間の稽古や連日の公演をこなすために、強い体力と自己管理能力が求められます。発声や動きが多い舞台では、体調を崩すと演技に大きく影響するため、食事・睡眠・運動を意識してコンディションを整えることが大切です。また、緊張やプレッシャーの中でも集中力を保つために、メンタルの安定も欠かせません。心身をしっかり管理する力が、舞台で最高のパフォーマンスを発揮する基礎になります。

セルフプロモーション力

舞台俳優として活躍を広げるためには、セルフプロモーション力が欠かせません。

自分の魅力や活動を発信し、ファンや関係者に知ってもらうことが大切です。SNSでは、稽古の様子や舞台の感想を投稿してファンとのつながりを深めたり、演劇関係者と交流することで新しいチャンスが生まれることもあります。積極的に自分をアピールし、人脈を広げる努力が、次の舞台や出演につながる大きな一歩となります。

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舞台俳優の年収とリアルな生活

舞台俳優の収入は、公演ごとの出演料で成り立つため、安定しにくいのが現実です。しかし、経験を積んで有名劇団や商業舞台に出演したり、映像作品・イベントなど活動の幅を広げることで収入を上げるチャンスもあります。ここでは、そんな舞台俳優の年収事情と、収入を伸ばすためのポイントを紹介します。

収入の仕組みと平均年収

舞台俳優の収入は、出演料やチケット販売による歩合、ファンクラブイベントや映像出演など、さまざまな収入源から成り立っています。

新人俳優の場合は劇団所属や小劇場の公演が中心で、1本の舞台で数万円〜十数万円ほどの出演料となることも多く、生活のためにアルバイトをしながら活動する人も少なくありません。

一方で、人気劇団の看板俳優やミュージカルなどの大規模公演に出演できるようになると、1公演あたり数十万円以上を得ることもあります。実力と知名度が上がるにつれ、テレビや映画など他のメディア出演にもつながり、年収1000万円を超えるケースも。

なお、一部の公演では「チケットノルマ」と呼ばれる、自分で一定枚数のチケットを販売する制度があり、これが収入に影響することもあります。舞台俳優の世界は厳しい反面、努力と実績次第で大きく飛躍できる夢のある職業です。

収入を安定させるには

俳優としての収入を安定させるには、舞台だけでなく幅広い分野に挑戦することが大切です。

たとえば、映像作品やCM、ナレーション、声優の仕事など、表現力を活かせる場は多くあります。特に近年は、YouTubeやSNSなど自分を発信する場も増えており、個人でファンを増やすことも可能です。また、仕事が軌道に乗るまではアルバイトをしながら活動を続ける人も多く、生活を支えながら演技の勉強やオーディションに挑戦するのが一般的です。

演技の幅を広げ、いろいろな現場で経験を積むことで、継続的に仕事を得られるチャンスが増え、俳優として安定した活動につながります。

舞台俳優のやりがいと向いている人の特徴

舞台俳優は、生の舞台で観客と感動を共有できる特別な仕事です。ここでは、舞台俳優ならではのやりがいと、この仕事に向いている人の特徴を紹介します。

舞台俳優のやりがい

舞台俳優のやりがいは、なんといっても「生の舞台」でしか味わえない感動にあります。

観客の笑いや涙、拍手がダイレクトに伝わり、その瞬間に同じ空間を共有できる喜びは何にも代えがたいものです。また、公演を通して仲間と苦楽を共にし、一つの作品をつくり上げる過程で生まれる絆も大きな魅力です。さらに、毎回違う舞台で新しい役と向き合い、自分の限界を超えていくことで成長を実感できるのもこの仕事の醍醐味。

努力が舞台上で実を結ぶ瞬間に、俳優としての生きがいを感じられます。

舞台俳優に向いている人の特徴

舞台俳優に向いているのは、まず「表現することが好き」な人です。

自分の感情や想いを声や体で伝えることに喜びを感じられる人は、舞台の世界で輝ける素質があります。また、舞台は一度きりの本番に向けて、地道な稽古を何度も積み重ねる仕事。結果がすぐに出なくても努力を続けられる忍耐力や向上心も大切です。さらに、共演者やスタッフと協力して一つの作品をつくるため、コミュニケーション能力やチームワークを大事にできる人も向いています。

好きな気持ちを原動力に、コツコツ努力を続けられる人こそ、舞台俳優として成長していけるタイプです。

まとめ

舞台俳優は、華やかに見えて地道な努力が欠かせない仕事です。

演技力や体力、チームワーク、自己表現力など、求められるスキルは多岐にわたりますが、舞台の上で観客と心を通わせる瞬間は何にも代えがたい魅力です。努力を続けながら自分の強みを磨き、夢に向かって挑戦し続けることが、舞台俳優として活躍するための第一歩となります。

よくある質問

舞台俳優になるには資格が必要ですか?

舞台俳優になるために特別な資格は必要ありません。大切なのは、演技力や表現力、体力、そして人とのコミュニケーション力です。多くの人は専門学校や養成所で基礎から学び、舞台経験を積みながらスキルを磨いていきます。

執筆者

i-MEDIA事務局
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この記事は、i-MEDIA事務局が記事の監修をしています。

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